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謹賀新年_電気蓄熱式床下暖房の暖房費 [完成後]

 あけましておめでとうございます。
 電気蓄熱式床下暖房の暖房費について、前回の記事のあとすぐにアップするつもりだったのですが、年賀状作成に手間取り、結局年を越してしまいました。
 本年もよろしくお願いします。

 因みに年賀状を投函したのは12月31日の夕刻でした。 (><)



 床下断熱換気口を締めた後の、12月29日までの各室の温度変化は次に示すとおりです。

 床下温度、1Fリビング温度とも、徐々に上昇していますが、2Fと小屋裏の温度はそれほど上がっていません。また12月29日は外気温が高かったので少し割り引いて考える必要があります。

 いずれにしても床下温度が設定温度30℃に達しておらず、未だスラブに蓄熱しきっていない状態だと考えられるので、もう少し様子を見ることにします。

 一日あたりの消費電力量は2割ほど少なくなりました。



 高気密・高断熱住宅で家中の温度をほぼ均一に保つための暖房費がどのくらい掛かるかについては、家のQ値、床面積、内外温度差さえ分かれば、建築前の段階でも大体予想することができます。

 Q値は家内外の温度差が1℃あるときに、床面積1m2あたり何ワットの熱量が失われるかを示すものなので、家から失われる熱量(=暖房機器で発生させる熱量)を計算することができ、暖房費に換算できるのです。



 例として、かっぱ亭の1月の暖房費を計算してみます。

 家自体の断熱性能(Q値)は1.6です。これに換気による熱損失0.5を加えると、全体のQ値は2.1となります。

 次に建築地の平均気温を調べます。近傍の観測所の1月の平均気温は2.9℃です。

 これに対して、室内の温度を20℃に保つとします。

 この条件で1時間あたりに失われる熱量は、

 Q値(2.1)×[室内温度(20)-平均気温(2.9)]×延床面積(40坪なので132m2)=4.7kwh

となります。

 一ヶ月あたりに直すと、

 4.7kwh×24×30=3,413kwh

です。

 ここで消費電力1kWあたりの加熱能力を1kw(動作計数COP=1.0と仮定)とすると、3,413kwhがそのまま消費電力になります。

 これを全て深夜電力で賄うとすると電気料金は、

 3,413kwh×7.35円=25,084円

となります。

 つまり、温熱等級4(次世代省エネルギー基準準拠)であっても、北関東で40坪の家の室内全体を20℃に保つためには、2万5千円の暖房費が掛かるのです。

 12月~3月までの暖房費の試算は以下の表のとおりです。

 ただし計算では考慮されていない要素もあります。

 まず、暖房機以外から発生する生活熱。
 生活していれば、調理に使われる熱、人間から発生する熱などによって室内は暖められます。

 次に、日射による熱の取得等。
 窓から入ってくる日射による熱や、夜になったらカーテンを閉める等して窓からの熱の逸散を防ぐ効果も考慮されていません。

 逆にここではCOP=1.0で計算をしていますが、ヒートポンプ以外の暖房機器の効率は1.0より小さいので、実際にはもう少し電力量が必要となります。

 以上を考慮に入れると、純粋な暖房費はもう少し安くなると思われますが、電気料金総額としては、2万5千円程度掛けないと家中の温度を20℃に保てないでしょう。



 しかし、実際にはこんなに電気料金が掛かっていないという場合も多いと思います。

 その理由は、

  ①室内の温度が低い
  ②全館暖房ではなく局所暖房になっている

からです。

 全館暖房と局所暖房のイメージです。




 全館暖房は家中の温度差が少なく、どこに居ても寒くないので快適なのですが、人が居ない部屋も常に暖めている訳で、当然局所暖房より電気代は嵩みます。

 逆に言えば、暖房費は、

  ①厚着をするなどして室温を低めに保つ
  ②人が居る所だけを暖める

ことで節約できます。
 ただ、家の中に温度の低い箇所があるとヒートショックの原因になったり、湿度によっては結露が発生するので注意が必要です。

 先に記した暖房費二万五千円は、Q値が2.1の場合であり、暖房費はQ値に比例しますから、例えば次世代省エネルギー基準に準拠していない家(最近の家の断熱性は良くなっていますから3.5程度のQ値は見込めると思います)では、全館暖房をしようとすると深夜電力のみを使っても暖房費は四万二千円になります。

 この金額はちょっと高すぎるかも知れません。

暖房費のことを考えると、

 家の中の温度差を少なくしたいなら、次世代準拠(場合によってはそれ以上の断熱性)は必須

だと言えます。

 逆に、

 次世代準拠でないなら全館暖房は考えない。(吹き抜けを設けているならエアコンはなるべく使わず、局所的な床暖などを使用する)

という、巷でよく言われている平凡な結論に達します。

 確かに建売住宅に蓄熱暖房機が設置されているのは見たことありません。リビングやダイニングなど局部的に床暖を付けている例はよく見ますが、これはある意味理に叶っていると思います。




 話をかっぱ亭の暖房費予測に戻します。

 日射の取得、生活熱などの要素を全く考慮に入れない場合の試算ですが、四ヶ月間で90,227円という結果になりました。

 しかし実際には機器の能力の問題があります。

 かっぱ亭の機器の一日の発熱量は最大で95kwhであり、これ以上の電力は消費できません。よって電気料金は二万円強止まりですが、逆に言えば12月~2月は発熱量が不足します。そこで月間の可能発熱量から、室内温度を逆算してみます。

 この結果によれば、1月は17.2℃、2月は18.0℃と20℃をかなり下回り、全館20℃を維持するためには電気蓄熱式床下暖房以外の熱源が必要であることが分かります。
 実際には全館20℃にはならずに、一階は平均温度より高め、二階は低めになりそうです。リビングが20℃程度を維持できれば、発熱量が足りない時でも補助暖房は余り使わないかも知れません。

 試算によると四ヶ月分の電気料金は83,095円となります。
 前回の記事にも書きましたが、年間の機器割引額が約55,000円なので、実質的には四ヶ月で28,000円、一月あたり7,000円です。

 この試算では暖房費は全て深夜電力で賄われています。

 発熱量が同じなら、暖房費を節約するには、

①安い電力(深夜電力)を利用する
②効率の良い暖房機(ヒートポンプ)を利用する

しかありません。

 ①の方法は深夜電力のエネルギーを何らかの形で蓄えて昼間に使うもので、熱を蓄える蓄熱暖房機が一般的、かっぱ亭もこの方式を採用しています。

 ②の方法はヒートポンプ式の暖房機、特にエコキュートを利用した床暖房が製品化されています。電気料金の安い深夜電力を使い、さらに最大でニクロム線の5倍程度の高い効率で温水をつくることが出来ますので、ランニングコスト的には大変有利だと思います。

 次の記事ではこのエコキュートを用いた床暖房について記してみたいと思います。

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コメント 4

トーゴ

元旦から更新、おつかれさまデス!
局所暖房の経験しか無い以上、「住んでみないとわからない」というのトコロもあるのかな?
今まで2階の暖房はかけていなかったので、「ほんのり」でも暖かければ「御の字」と思ってマス。
あとはやはり電気代ですよね・・・。
by トーゴ (2008-01-01 20:33) 

kappa

現在の30℃の設定では1Fがほんのり暖かい程度、2F,3Fははっきり言って寒いです。消費電力を見ると、換気口を閉めて以来、フル稼働していない様なので、設定温度をもっと上げる必要があるようです。
電気代は月に2万円掛かる位でないと、熱量が不足してしまうので仕方ないかなと思っています。
by kappa (2008-01-01 22:43) 

さと

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

新居ネット環境が未整備で更新できない現状ですが、見捨てないでください;;
by さと (2008-01-04 12:06) 

kappa

さとさん、あけましておめでとうございます。

新築でネット環境が未整備って誰でも通る道ですよね。
ある意味羨ましい。
見捨てるなんてとんでもないです。
開通した後の記事ラッシュを期待しています。

本年もよろしくお願いします。
by kappa (2008-01-04 21:28) 

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