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気密性・断熱性に係る基準(4) [ハウスメーカー選び]

 次世代省エネルギー基準に適合する「工法認定」とは、申請された工法について(財)建築環境・省エネルギー機構が、「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断の基準」(性能規定)、又は「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設計及び施工の指針」(仕様規定)に定めるものと同等以上の性能を有する工法かどうかの評価を行い、適合すると判断されたものに対して「評定書」を交付する制度です。

 (財)建築環境・省エネルギー機構は国土交通省(旧建設省)の外郭団体であり、御多分に漏れず、国土交通省の天下りOBが常勤の理事を勤めています。機構が講習会・セミナー等で得た収益は、間接的に私たちが支払った建築請負費や設計料なのです。これが天下りOBの高額な給与・退職金に充てられるのかと思うと、納得いかないものがあります。

 これまで記したとおり、一棟毎に性能規定に合致するか計算したり測定することは非常に煩雑です。また、仕様規定を全て満たそうとすると施工に手間が掛かります。

 一例を挙げると、仕様規定による一般的な気密施工は充填断熱・Ⅳ地域の場合、規定の厚さ以上の断熱材を貼った後、

・断熱材の内側に気密シートを張る
・天井も同様に断熱材の内側に気密シートを張りプラスターボード等で垂れ下がらない様に押さえる
・天井と壁、壁と床との取合部、壁の隅も同様に気密シートを張る
・気密シートを継ぐ場合、必ず下地材がある部分において行い、100ミリメートル以上重ね合わせ、その部分を合板、乾燥木材、石膏ボード等の材料で挟みつける
・気密シートの端部は気密補助材(ブチルテープ等)で隙間が生じないようにする

ことが要求され、非常に面倒なのです。気密施工が余り一般的でない地域においては、熟練した施工者も多くないことも、普及をより困難なものにしています。

 しかし実際には気密シートを施工しなくてもC値を5.0以下にする事は難しい事ではありません。断熱材としてビニール袋に入った一般的なグラスウールを使い、間柱にタッカーで隙間無く止め、合板の繋ぎ目に気密テープを貼った程度で、楽々クリアできてしまいます。気密仕様のコンセントを使用しなくても大丈夫です。

 この様に、性能規定に対して仕様規定が厳しすぎる(オーバースペックである)ことから、建材や施工法まで含めパッケージ化した独自工法について、部分的には仕様規定を満たしていなくても、トータルで見て次世代省エネルギー基準の性能規定を満たしていれば、その工法を使用して建てた住宅を次世代省エネルギー基準準拠とみなすというのが、先に記した「工法認定」制度なのです。この制度によってビルダーは様々なコストダウンの工夫ができます。

 申請には、建物形式の構成一覧、構成要素仕様一覧(躯体部位層構成、部位間接合部の標準的断面、開口部の仕様、気密仕様、換気システム等)、性能評価書(省エネルギー性能、気密性能、防露性能、換気性能、暖冷房設備等)、供給・施工体制やサービス・保証体制、特記仕様書、その他(標準書・マニュアル・規定など) を準備する必要があり、簡単ではありません。

 このためどうしても、大手H.M.やフランチャイズ系の認定が多くなります。
 大抵の大手H.M.はオリジナルの施工方法を売りにしており、独自の工法を開発する技術力と資本がありますから、「次世代準拠」の認定を得る事はたやすい事でしょう。
 フランチャイズ系は一般の工務店にノウハウを販売することが目的なので、「次世代準拠」になることで工法の差別化が図れるというメリットがあります。
 一方、自前の工法認定を申請できない工務店が次世代省エネルギー基準に準拠した住宅を建てようとする場合、一棟ずつ性能規定に照らすか、仕様規定に則るか、フランチャイズに加入するかの選択になります。気密・断熱施工について蓄積された技術を持っていなくても施工出来るのは、ノウハウを教えてくれるフランチャイズ系で、大抵名の知れた工法でもあるので、集客効果も期待できます。しかしその代償として、会費や独自の部材代をフランチャイズ本社に支払わなければならず、施主が支払う建築費もその分割高となります。
 また、フランチャイズ形式をとらない認定工法もあります。サッシや断熱材のメーカーが母体となっているものは、自社で開発した製品の使用が前提となっています。また、工務店の連合体等の団体が母体となっている、よりオープンですが知名度は低い工法もあります。また気密・断熱工法は、基本がわかると難しいものではないので、フランチャイズを離脱して、独自に工法認定を取っている工務店もあります。これらの工法をとる場合は、フランチャイズ系より建築費は割安になると思います。

 認定された工法の多くは、施工を簡略化するためのものです。特にⅣ地域を対象としてる工法は、C値の基準が5.0と緩いことから、面倒な気密シートの施工をしないで済ませているものが多く、また断熱材の厚さも仕様規定に満たないものもあります。それでも次世代省エネルギー基準はクリアできます。
 もちろん仕様規定より高い気密性・断熱性を求めた認定工法もあります。

 調べていて感じたことは、次世代省エネルギー基準というのは、それ程高いハードルではなく、認定工法にもピンからキリまであるということでした。特に、北海道や東北地方では工法の工夫が進んでおり、施主の意識も高いので「より優れたものを」という気運が感じられました。

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