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エコキュートの湯切れと容量 [これから建てる人のために]

 オール電化に欠かせないエコキュート。
 深夜電力+ヒートポンプという最強の組合せによって、電気温水器の1/3、都市ガスの1/5程度の費用でお湯をためることができます。導入のためのコストも、新築であればリフォームと比べて割安ですし、大抵の場合光熱費の低減によって10年以内に機器費用の差額は回収できますので、オール電化で新築される場合、多くの方が導入されていると思います。
 ここで戸惑うのはその容量だと思います。一戸建て用としては300リットル、370リットル、460リットルあたりが一般的で、H.M.の企画住宅(例えばタマホームなど)では、標準で370リットルの製品が組み込まれている例を多く見ます。
 エコキュートは基本的に深夜電力でお湯を温めますから、深夜時間帯に入る午後11時より前にお湯を使い切ってしまうと、電気料金が高い時間帯に焚き増しをしなければならず、経済的ではありません。
 一般的には4人家族までなら370リットル、5人以上なら460リットルと言われていますが、ライフスタイルによってお湯を使う量は違って来ますので、もう少し詳しく検討して仕様を決定したいところです。

 エコキュートの構造参考ページによると大体次のとおりです。
ecogaiyou.jpg

 エコキュートのタンクの中に溜まっているお湯の量はいつも一定(容量一杯)です。お湯を使うときはタンク内の温水と水道水を混ぜて設定温度(例えば42℃とします)にしています。お湯を使うときはタンクの上部から給湯され、その分タンクの下部から水道水が給水されます。
 タンクに給水された水道水がお湯と混ざってしまうと、タンク内の平均温度が42℃まで下がった時点でお湯が使えなくなってしまいますが、実際にはお湯が水道水の上に浮くので、深夜の間に暖めた温水の殆どを利用することができるのです。
 お湯を使い切ってしまいうとタンクが水道水で満たされる、いわゆる「湯切れ」状態になります。こうなると焚き増しをしなければお湯を使える状態にならず、焚き増しには時間が掛かるので、お湯が使えるようになるには暫く待たなければなりません。この点は瞬間湯沸かし器と比べて不便で、エコキュートを使用する場合、まず湯切れを起こさないことが大切です。

 エコキュートの運転は24時間可能ですが、深夜時間帯のみ運転する使い方が一般的です。かっぱ亭で使われているダイキン製品を例に取ると、タンク内の温度は最高で85℃になるように設定されています。そうすると、水道水の温度が9℃として、42℃のお湯の使用可能量は、タンク容量370リットルの製品では850リットル、タンク容量460リットルの製品は1060リットルと計算されます。
 しかし機器の取説では370リットル製品での使用可能量は650リットル以下と記されています。実際に朝7時に使用可能湯量を確認すると650リットルと表示されています。
 この差はタンクからの放熱ロスを考慮して表示しているためと思われます。エコキュートのタンクの周囲は発泡系の断熱材で覆われていますが、その厚さは数センチと薄いため、タンク内の湯温は時間が経つに連れて徐々に下がってきます。利用可能量が850リットルから650リットルまで減るということは、約24%のロスがあるということになります。外気温が低くなるほどロスは増えますので、東北や北海道地方でエコキュートのタンクを室内に設置しているのも道理です。

 水道水温度9℃とはエコキュートの説明書の試算例に用いられている数字で冬場の関東を想定していると思われます。これより水道水の温度が低くなれば、42℃の使用可能湯量はもっと少なくなりますが、取りあえずこの数字を基準にして考えてみます。

 エコキュートの取説に記載されていたお風呂における使用湯量の目安は次のとおりです。
お湯使用目安.jpg

 「保温」とは浴槽内のお湯をパイプでエコキュート本体まで導き、タンク内のお湯の熱で暖め、また浴槽に戻すというもので、途中のパイプから放熱してしまうこと等から効率が悪く、多くの湯量を必要とします。
 これに対して「高温足し湯」は、タンク内のお湯をそのまま(温度が高いときは60℃まで薄めて)浴槽内に30リットル足すもので、42℃換算では約50リットル分の熱量を消費します。1回の操作で浴槽内のお湯の温度は約2℃上昇します。

 ただ、最近のユニットバスは浴槽に断熱タイプの製品が使われていることが多いので、保温に必要な熱量は少なくなります(使用感としては半分程度)。また保温より高温足し湯の方が、配管から失われる熱が少なくなるため、必要な湯量は少なくて済みます。
 当然ですがユニットバスが1坪より大きいタイプだと浴槽に張るお湯の量も多く必要となります。ユニットバスのサイズが同じでも、浴槽に張るお湯の量、シャワーの使い方などは人それぞれなので、それらを勘案して自分の家の使用湯量を計算してみると良いでしょう。

 お風呂以外の用途で使われる温水の量は少ないのですが、洗い物に温水を使う場合は無視できなくなります。参考ページによると、食洗機を使う場合の水使用量は14リットル、手洗いの場合は110リットルとされており、食洗機を導入するかしないかによって、必要な湯量はかなり違ってきます。
 一応標準的な例として、

 1.1坪タイプの断熱浴槽保温2時間
 2.お湯張りは200リットル(浴槽6~7分目)
 3.シャワー使用量は1人あたり75リットル
 4.食洗機あり(1日2回運転)


の条件で必要湯量を計算すると、

 200(浴槽)+75×4(シャワー)+45×2(保温)+14×2(食洗機)=618L

 となり、容量370リットルのエコキュートの貯熱量をほぼ使い切ることになります。これより、

 370リットルの製品は4人家族が普通に使う湯量

を供給する能力と言えそうです。
 従って、家族が5人以上である場合や、夜の入浴とは別に朝シャワーを浴びる、浴槽が大きい、保温時間が長い(家族が風呂に入る時間がばらばら)、浴槽にお湯をなみなみと張る、入浴中シャワーを出しっぱなし、など、お湯を多く使う場合は460リットルタイプを選んだ方が良いでしょう。
 容量が370から460リットルに大きくなると、貯湯タンクの表面積は大きくなりますが、同じ熱エネルギーを貯める場合には貯湯温度が低くなりますので、放熱ロスは殆ど変わらないと思いますので、設置場所が確保でき、価格差がさほどでもないのなら、熱量計算上は460リットルを選んでおいて損はありません。
 また床暖房の熱源を併用する場合は、極力大きなタンク容量の製品を選ぶべきです。エコキュートを暖房に使用する場合、460リットルタイプを暖房専用にしても、深夜電力では家1軒を暖めるために必要な熱量の1/3程度しか賄えません。まして、給湯で容量の半分以上を持っていかれてしまえば、暖房に回せる熱量は多くはありません。550リットルなどの容量が大きいタイプを選ぶことによって生じた差額は、電気代が安くなることによって回収できます。


 それではかっぱ亭はどうかと言うと、エコキュートの容量は370Lです。新築時はこれで十分と思ったのと、当時、Beハウス・アクトではこの容量のエコキュートをかなり安く提供していたこともあって選びました。
 半年近く使用していますが、湯切れを起こすこともなく、容量的には事足りています。ただ不思議なことに、上記の様に使用量を計算してみると、どう見ても一日600リットル程度のお湯を使っているはずなのですが、エコキュートの使用履歴を見ると450リットル程度しか使っていないことになっているのです。かっぱ亭は電気蓄熱式床下暖房を使用しているので、浴室の温度は20℃以上に保たれており、シャワーを止めても体が冷えることはないので、使用量は普通より少ないのかも知れませんが、それにしても差がありすぎです。何故計算した使用量と表示が合わないのかはちょっと分かりません。

 1月になってから寒い日が続きますが、今のところその日のお湯を使い終わった時点で残り150リットルや100リットルの表示が出ていることが多く、370リットルのタンク容量でも、そこそこ余裕がある状態です。

 これまで湯切れを起こしたことは無いのですが、後に述べるおまかせモードを除き、深夜時間帯以外で焚き増しをしたことが1回あります。
 この時はかっぱが仕事で遅くなり、帰ってきたのは午前5時頃だったため、朝方シャワーを長めに浴びました。これがエコキュートが稼働する時間帯だったので、朝にタンクに貯められるはずの熱を、100リットル以上使ってしまいました。この時は厳寒期ではなく、一日の貯湯量もかなり少なく設定していたため、夜になってお湯が不足しそうになって、結局焚き増しをしました。図に示すと次のようになります。
0901エコキュート1.jpg

 エコキュートは放熱ロスをなるべく少なくするため、午前7時より少し前に焚き上げが終了するように設定されています。と言うことは、深夜時間帯の焚き上げ中にお湯をたくさん使うと、規定量の温度を確保出来なくなってしまうのです。このため、朝に入浴する習慣がある場合は、貯湯量に余裕を持たせておく必要があります。



 これまでの話は「容量に余裕を持たせた方が良い」という内容ばかりでしたが、370リットルのエコキュートでも、深夜電力のみで650リットル以上のお湯を使う方法があります。
 図は冬場のエコキュートの貯湯量の変化を模式的に示したものです。
0901エコキュート2.jpg

 ここで注目して欲しいのは、午後11時から午前1時までの間ヒートポンプユニットが稼働していないことです。これよりヒートポンプユニットの能力は、タンク容量に対して余裕があることが分かります。ということは、午後11時から午前1時まで、ヒートポンプを動かしながら、その間にためた分のお湯を使えば、その分650リットルに上乗せしてお湯を使えることになります。
 簡単に言ってしまえば、タンクにためた熱は、その日の午後11時まで持てばよいのです。もちろんヒートポンプの能力が100リットル/時であれば、午後11時から午前1時の間に使える湯量は200リットルまでとなりますが、この時間帯にお湯を使うご家庭なら、1クラス上の製品と同等のお湯を使うことができます。

 かっぱは一度、栓をしないでお湯張りをしてしまい、100リットル以上のお湯を無駄にしてしまったことがあり、お湯を使っているうちに残り湯量が50リットルを切ってしまいました。
090103残50L.jpg

 しかしその日の私の入浴時間は午後11時より後でしたので、この後焚き増しをすることによって湯切れせずに済みました。繰り返しになりますが、

 午後11時以降にもお湯を使う場合、タンク容量以上のお湯を使用可能

なので、湯切れを起こすことはまずありません。



 次にエコキュートのランニングコストについて。
 エコキュートでためた熱が100%有効に使われるなら、単純にお湯を節約すれば良いだけの話ですが、先に述べたとおり、エコキュートには無視できないほどの放熱ロスがあります。その日に使ったお湯についての放熱ロスはどうしようもありませんが、使わずに残したお湯も放熱ロスで熱量を失っており、この分が無駄となります。ですから、タンク容量の如何に関わらず、

 その日に使う量だけ焚く

という使い方が、最も電気代が安くなります。タンク容量が大きいからと言って、毎日沢山のお湯を作っていると、その分無駄な電気代を支払うことになります。
 メーカー側もこのことは十分承知しているようで、エコキュートには大抵「おまかせモード」と言って、過去のお湯の使用履歴から必要湯量を求め、その分のお湯しか焚かない機能が付けられています。ただこの機能は本当にぎりぎりのお湯しか作りませんので、時々昼間時間帯の焚き増しが生じてしまいます。放熱ロスを考えると、毎日の貯湯量に余裕を持たせるよりも、ぎりぎりの量だけ準備して足りなくなったら昼間に焚き増しした方が電気代は安くなるのかも知れません。しかしかっぱは電気代が高い時間帯に焚き増しをするということに抵抗を覚えるので、この機能は使っていません。ダイキンのエコキュートは深夜のみエコキュートを動かすモードには、1.タンクの中ほどまでを65℃に焚き上げ、2.タンク全量を65℃に焚き上げ、3.タンク全量を85℃に焚き上げ、という3種類の設定が可能なので、夏場は2.、冬場は3.に設定しています。
 どの様な設定が可能かどうかはメーカーによって異なり、「深夜のみ」の稼働とすると、強制的に85℃まで焚きあげてしまう製品もあるようです。460Lの製品の焚き上げ設定が370Lと同じ3段階だとしたら、2.だと370Lの3.より貯熱量が少ないので、結局3.で運転することになり、電気代はその分高くなってしまいます
 このように大は小を兼ねますがその分電気代も掛かりますので、結局「必要量に合わせた容量を選択する」という月並みな結論に導かれます。比較的大きな容量のエコキュートを選ばれる方は、「深夜のみ」の稼働とした場合、どのくらい細かく湯量を設定できるかも要チェックだと思います。



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肉球

我が家のエコキュートも370Lです。
標準で設置されるものだったので。
湯切れが心配だったので460Lも検討しましたが
予算の都合上あきらめました。
4人家族で普通に使う量とお聞きし安心しました。
我が家はまだ2人だけなので。
子供ができて大きくなり、ライフスタイルが変わったころには
製品の寿命もきていると思うので
そのころに再度検討しようかなって思ってます。
by 肉球 (2009-01-13 08:54) 

kappa

肉球さん、

370Lの製品でも4人家族であれば、普通の使い方をしている限り湯切れは起こらないと思います。
まあ「普通」というのがどういう使い方を指すかは人それぞれですが、浴槽に溢れんばかりにお湯を張るとか、浴槽に入っている時以外はシャワーを出しっぱなしにしたい場合は、足りなくなる可能性はあるでしょう。
お二人だけなら、標準の370Lで十分すぎると思います。
nice!ありがとうございました。
by kappa (2009-01-14 12:55) 

plusgate

ユーザーからの視点でとっても参考になりました。
実際、オーナーに聞いてみると大丈夫とみたいですが、
現実的な部分でとてもわかりやすかったです。
by plusgate (2009-01-14 18:56) 

kappa

plusgateさん、

使い始めた当初は、なぜエコキュートが変な時間に焚き増しするのか分からず悩みました。取り扱い説明書にも、動作の詳しい説明は記載されておらず、ブラックボックスに近いのです。
情報を集め、一年近く使って、機器のクセを漸く把握してきたところです。我が家で最も効率の良い機械なので、深夜電力だけで動いてくれれば御の字で、私自身はこれ以上節約しなくても良いかなと思っています。
nice!ありがとうございました。
by kappa (2009-01-14 19:17) 

ぺんたごん

いつも為になる情報ありがとうございます!
エコキュート、午前7時前にお湯を沸かしているというのに、ナットクです。
そーゆーことだったんですね・・・。
私はおまかせモードにしてあります。入居時にメーカーの人に
説明をしてもらったのですが、イマイチ節約設定の仕方がわからず
”おまかせ”で今に至っています。
旦那は「年一で水を抜くって言ってたよなぁ・・・」って思い出してるし、
家庭でするメンテが大切ですね。

そういえば、風呂の湯量を40L”密かに”減らしたら300円浮きました♪

by ぺんたごん (2009-01-14 21:44) 

kappa

ぺんたごんさん、

おまかせモードで昼の時間帯に焚き増しが生じないのなら、作る湯量が細かく設定されるでしょうから、最も経済的だと思います。
メンテのことは忘れていました。もうすぐ一年だし、やらなければいけませんね。
それにしても、40Lも湯量を減らしても、誰も気付かないものなのでしょうか。ウチも補給部隊が設定を変えていないかチェックしなければ・・・
nice!ありがとうございました。
by kappa (2009-01-14 22:01) 

たいせい

 かつて住んでいた家が深夜電気温水器を使用していたこともあり、エコキュートの印象はあまりよくありません。
 今はきっと違うのかもしれませんがガス給湯器の「追い炊き」に感動した口でもありますし、家族構成の変化への対応としても今ひとつな印象を持っています。
by たいせい (2009-01-15 16:30) 

toyo

とてもためになります。
うちのお客様にも教えてあげようと思います。
いい記事ありがとうございました。
by toyo (2009-01-15 16:32) 

わかって建築家

結局、その人の考え方と、満足度なのです。
正解はありません。

自分の場合、エコキュートを選ぶ基準は、現在、プロパンガスをお使いの家庭は、薦めますが、都市ガスのある家は、それぞれの良い点 悪い点をあげ、選択をしていただきます。

ガスのほうが対応力がありますが、オール電化のメリットもしっかりあるのです。

ただ、電気コンロからの電磁波については、未知の領域です。
大学の先生がいろいろ言っていますが・・・・・
携帯電話も電磁波ばりばりなので、現代人は気にしていたって無理でしょうが・・・・
by わかって建築家 (2009-01-15 17:11) 

kappa

たいせいさん、

今のエコキュートはお風呂を同じ温度に保つ保温機能や、暖め直し(いわゆる追いだき)機能がついていて、便利になっているようです。まあ、電気温水器にしろ、エコキュートにしろ、深夜にお湯を作ってタンクにためておくことには変わりないので、湯切れや湯余りが生じてしまい、ガス湯沸かし器の便利さにはかないません。
エコキュートのメリットはただ一つ、ランニングコストが安いことだと思います。
nice!ありがとうございました
by kappa (2009-01-17 00:56) 

kappa

Toyoさん、

まだまだエコキュートの動作については取説に書いていないことも多く、その辺りユーザーに親切ではありません。黙って「おまかせ」にしておけば良いのでしょうが・・・
nice!ありがとうございました。
by kappa (2009-01-17 01:16) 

kappa

わかって建築家さん、

仰る通り、メリット・デメリットを認識した上で、施主が選べば良いのだと思います。その両方を提示するのが、ビルダーの役目でしょうか。
nice!ありがとうございました。
by kappa (2009-01-17 01:20) 

ドラ

現在家をリフォーム中です、リフォーム後はオール電化でエコキュートになります、参考にさせて頂いて使用していきたいと思います。
by ドラ (2011-12-30 21:01) 

kappa

ドラ様初めまして、コメントありがとうございます。

オール電化にエコキュート。
光熱費節減の定番ですね。
拙い記事ですが、ご参考になりましたら幸いです。
by kappa (2012-01-08 21:56) 

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