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気密性・断熱性に係る基準(2) [ハウスメーカー選び]

 住宅の暖冷房用エネルギー消費量を低減させるには、住宅の保温性能を上げなければいけません。この保温性能を数値化したものが熱損失係数で、一般にQ値と呼ばれているものです。Q値の定義は、室内外の温度差が1℃の時、家全体から1時間に床面積1m2あたりに逃げ出す熱量であり、単位は(W/m2K)で表されます。Q値は小さければ小さいほど、熱が逃げにくいので居住性能が良くなります。
 Q値の計算式を簡単に表すと以下のとおりとなります。

 Q値=(屋根・天井・外壁・窓・床から逃げる熱+換気によって逃げる熱)/延べ面積

 次世代省エネルギー基準で求められているQ値は以下のとおりです。参考までに( )にそれまでの新省エネルギー基準と、これらの対象地域を示しておきます(対象地域は市町村毎に分けられておりますので、下記に依らない場合もあります)。

・Ⅰ地域→1.6(1.74):北海道
・Ⅱ地域→1.9(2.67):青森、岩手、秋田
・Ⅲ地域→2.4(3.14):宮城、山形、福島、栃木、長野、新潟
・Ⅳ地域→2.7(3.95):上記または下記以外の県
・Ⅴ地域→2.7(4.3):宮崎、鹿児島
・Ⅵ地域→3.7(6.4):沖縄

 次世代省エネ基準に適合する住宅を建てるには、「性能規定」である“住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断の基準” によるか、「仕様規定」である“住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設計及び施工の指針”に沿って建てることになります。

 ここでいう「性能規定」によるとは、自分の建てる住宅のQ値を構造図等から計算によって求め、上記基準値に合致しているかどうかを判断するものです。

 次世代省エネ基準で規定されている項目は住宅の保温性だけではありませんので、「Q値」と同時に「気密性能基準」である“相当隙間面積の基準値”と “夏期日射取得係数の基準値”を、地域区分に応じて満たす必要があります。またこれとは別に、地域の区分に応じた年間暖冷房負荷によって判断することもできますが、ここでは省略します。

 このQ値を計算するために、住宅に使用する部材の熱貫流率(熱の伝わりやすさ)が細かく定められています。構造図から、外部に面する壁(断熱材)、天井(断熱材)、床(断熱材)、窓、ドア、柱(間柱)などの厚さ・面積をそれぞれ求め、一つずつ熱貫流率を乗じ、足し合わせてQ値を計算します。壁の中に入っている間柱などは熱橋(構造部材、下地材、窓枠下材その他断熱構造を貫通する部分で、断熱性能が周囲の部分より劣るもの)となりますので、断熱補強を含めてこれらも計算に入れます。
 この方法では計算に必要な数量を構造図から拾うのに大変な手間が掛かります。また数量は一軒一軒異なりますので、構造が確定しなければ「次世代準拠」であるかどうか分かりません。
 これではビルダーから、

 そんな面倒くさい事、出来るわけ無いだろ!  \(`0´)/

という声が聞こえてきそうです。

 そこで 「仕様規定」 の登場です。

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コメント 8

パパ

良く調べておりますね。
家は一生の買い物!ですね。
かっぱさんのその思い、情熱には頭が下がります。

熱損失係数を計算するソフト、ありますよ!
by パパ (2007-08-16 23:02) 

kappa

パパさん、こんにちは。
契約前に色々調べている時は、「自分は何をやっているのだろう」と思っていました。「当社は次世代準拠です」と謳っているビルダーに頼んでいれば、こんなこと調べなくてもいいのに、と。
熱損失係数を計算するソフト、調べている内に幾つか見かけましたが、私は使った事がありません。実際に計算されている施主のブログもありましたが、熱橋となるスタッドは計算に入れられていませんでした。素人でも計算できる、お勧めのフリーソフトがありましたら、お教え頂ければ幸いです。
by kappa (2007-08-17 02:08) 

パパ

≪「当社は次世代準拠です」と謳っているビルダーに頼んでいれば、こんなこと調べなくてもいいのに

鵜呑みにしてはいけないと思います。自分で納得いくまで調べたに越したことはありません。

熱損失係数の計算ソフトですが、フリーではありませんが3~4千円で入手する事が出来ます。こちらに問合せしてみてください。
http://www.shinjukyo.gr.jp/qpex1.html
エクセルがインストールされていれば大丈夫です。
このソフトの優れている点はQ値を計算するだけではありません。
年間の暖房灯油消費量がシュミレーションする事が出来ます。
パパは思うのですが、Q値と年間暖房灯油消費量、
どっちが大事?
by パパ (2007-08-17 23:47) 

kappa

ぱぱさん、情報及びコメントありがとうございます。
もし、ぱぱさんがご自宅のQ値等を計算されておりましたら、ブログに掲載して頂けたらと思います。この手の計算例が示されているブログは数える位しかなく、いずれも不完全なものでした。
by kappa (2007-08-18 15:15) 

パパ

わかりました。ぜひ掲載したいと思います。
しかし、そこまではまだまだ時間がかかりそうです・・・・
気長にお待ちください。<(_ _)>
by パパ (2007-08-21 19:12) 

kappa

ぱぱさん、よろしくお願いします。
私も簡単な形で計算してみようと思っているのですが難しくて・・・
着工してしまっている状態で、Q値を計算してもいまさらどうにもならないという考えもあったのですが、この仕様でどの程度の計算値が出るのか、読んでくださっている方達に示さないと不親切ですし、頑張ってみます。
by kappa (2007-08-21 19:28) 

パパ

もし宜しければ熱損失係数計算しましょうか?
少々期間を頂けたらの話ですけど。
もちろん無料で!
僕のブログにコメントと一緒にメールアドレスを頂ければ
必要な書類等(図面・仕様書等)を連絡いたします。
もし良ければの話ですが・・・・・・
by パパ (2007-08-21 23:23) 

kappa

ぱぱさん、お申し出ありがとうございます。
やはり自分の家の計算は自分でやってみたいので頑張ってみます。
ただ、次の記事(8月22日)で記しますが、ちょっとそれどころではなくなりそうなのです。
by kappa (2007-08-22 10:16) 

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