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コストダウンについて [完成後]

 限られた予算の中で、如何に自分が満足できる家を作るかを考えるのなら、自分の要望をある程度定量的に整理しておく必要があります。
 まず大雑把に項目別の整理。
 住宅に求める項目でコストに関係してくるものとしては、構造(耐震性など)、メンテナンス性(メンテナンス費用が少なくて済むか)、デザイン、インテリア、設備機器類、気密・断熱性、使用部材(構造材等)、防犯性(防犯ガラス、面格子、シャッター等)、ブランドなどが挙げられると思います。
 人によってはバリアフリー、空気環境、シロアリ対策などを重視する場合もあります。これらの項目は標準的な仕様で建築している限り、工務店やH.M.の差はそれほどなく、仕様を上げようとすればその分が追加工事になります。

 自分の考えを整理する意味で、検討しているH.M.の仕様をレーダーチャート(外側ほど高機能)で表してみるのも良いでしょう。(参考坪単価は延べ床面積40坪の場合を想定しており、これより小さい家ではもう少し高く、大きい家ではもう少し安くなると思います)

 坪単価80~90万円(またはそれ以上)の大手H.M.。
 例えば、ブランドイメージは最高、その他の仕様も最高に近く、気密・断熱性は等級4を余裕でクリアするがFC系には届かず、防犯性は防犯ガラス標準・それ以上はオプションで増強・・・だとすると、

 坪単価がもう少し安くなるミドルクラス以下の大手H.M.。(坪単価60~70万円台)
 例えば、①と比べて全体的に仕様が少し下がるが、デザイン、インテリア、設備機器類はかなりのスペックを維持、構造は耐震等級3を保証していない、気密・断熱性は温熱等級が4に満たないまたは4ぎりぎり、防犯ガラスはオプション、構造材は土台には堅牢な無垢材を使うがそれ以外はより安価な木材や集成材を使用、屋根材がスレートになる、アフターサービスは比較的しっかりしている・・・

 ローコストH.M.。(広告の坪単価は安くても、最終的には40~50万円/坪程度になる)
 例えば、設備機器類は豪華、個々の家の耐震等級3を保証していない(恐らく1)、気密・断熱性は温熱等級が4に満たない、アフターサービスへの不満が聞こえる・・・

 地場工務店。(坪単価50~60万円台程度)
 例えば、使用する木材や耐震性にこだわっているが、設備機器やデザイン、気密・断熱性は今ひとつ、地元だけあってアフターサービスは最高・・・

 当然レーダーチャートの面積が大きくなればなる程、建築費は嵩みます(特にブランドイメージの項目は建築費に大きく響きます)。
 この様に比較してみて、自分がどの程度の仕様を欲しているのか(予算を配分するつもりなのか)を考えてみると、全部でどの程度の予算を用意しなければいけないかが分かってきます。
 かっぱの場合、要望はこんな感じでした。気密・断熱性、防犯性、メンテナンス性については一定の仕様が必要と考え、耐震性も最低ランクよりはちょっと上にしたい反面、設備は蓄熱暖房機以外は並でいいかなと・・・

 全体的にはローコストH.M.と地場工務店の間で、坪単価50万円位は必要になるということが分かります。もちろんかっぱも当時はこんな図を作っていた訳ではないのですが、主な項目の比較表は作成していました。
 この段階で、自分の予算と望む仕様を比較し、予算オーバーならどうするか考えます。頑張って予算を増やす、建築仕様を落とす、ブランドを落とす(大手を諦め工務店を捜す、あるいは大手でもランクを落とす)かの選択になります。結果的にかっぱ亭はメンテナンス性を若干落としてコストダウンしました。逆にデザイン性については特別な予算を掛けなかったのですが、H.M.が頑張ってくれてひと味違うものになりました。

 もちろんここに載ってこない、金額には換算できない項目もあります。例えば間取りなどの意匠設計。これはお金を出せば良いものになるという訳でもなく、設計士の力量次第のところが多分にあるので、自分だけでは何ともなりません。かっぱの場合は提案力のある設計士に巡り会うまでに、かなり時間を要しました。かっぱもある分野の専門家なので、力のあるプロと素人の違い(経験や知識や発想力など)が歴然としているのは承知しているつもりで、自分で間取りを考えようとは思いませんでした。でもサービスが受けられない(例えば営業が間取りを考える)H.M.と契約した場合は、自分で考えたかも知れません。
 もう一つは営業の人柄。自分たちのお世話係として親身に相談に乗ってくれる人かどうかで、家づくりの楽しさは随分違います。この方達の給料は施主が支払っている訳ですから、支払った金額に見合うだけのサービスを受けるのは当然のことで、意外とH.M.選びの決め手になったりしています。

 コストダウンは家を建てるとき、殆どの方が通る道なのですが、一方で自分の夢が一つずつ削ぎ落とされる儀式でもある訳です。辛い減額作業をするか、当初の思惑より遙かに高額な支払いをするかの二者択一になる前に(H.M.と契約する前に)、望む仕様と予算のバランスを考えておくことは大切なことだと思うのです。

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パパ

こんにちは、かっぱさん。
質問です。表示してある坪単価とは

施工面積の坪単価?

それとも、延べ床面積の坪単価?

宜しくお願いします。
by パパ (2007-11-08 07:50) 

kappa

パパさん、こんにちは。
表示価格は延べ床面積に対してで、工事雑費、申請等の諸費用、一般的なオプション、照明、カーテンなどを全て含んだ金額を想定しています。
大手H.M.の単価については、例えば次のブログに例が示してあります。
http://blog.so-net. ne.jp/menchi-da/
このデータは2004年のもので古く、オプションが含まれていませんが、実際に上がってきた見積金額が掲載されていますので参考になります。
大手で建てる場合、耐震等級1~2,温熱等級3程度の最も安い(でもデザインは良い)レベルでも、坪60万円は最低必要なようです。
by kappa (2007-11-08 12:51) 

おっちゃん

こんにちは! かっぱさん。
う~ん。。。なるほど!・・・読んでいると引き込まれました。。。
シビアですね。。。地元工務店として反省すべき点も見えてきます。
今後の営業の参考にさせていただきます。
・・・有難うございます。

ただ、建築屋の親父のとして…1つ!
ユーザーの為の家作りを考えた時に…プランと外観や性能は…干渉しあいます。
性能としての次世代省エネ基準を確保できても立地条件により
壁の受ける熱量は変わります。
と言う事は…同じ値段の同じ家を建てても…ユーザーの受けるメリットには違いが生じます。
同じように壁の受ける熱量は庇の長さや位置によっても変わります。
屋根部分の断熱材の位置も…考えなければいけない要素です。
今は、お客様のニーズに合わせた間取り!が中心で…
使い勝手よりも見栄えの良さ!のプランで…
その中で多機能の高級設備機器が…活きて来ない。。。
                  プランも発生してしまいます。
低コストで建てる為に…
プランやデザインで…性能を確保しようとしている…馬鹿な親父ですが、データに現しにくい要素としてそんなこともあるように考えています。

建築エンジニヤとしては、次世代省エネ仕様に如いては…
南面、西面の壁に受ける日光による熱量と屋根面の断熱材位置の地域による保温性において、懐疑的に感じてしまいます。
既設や気温、風向き、立地によって…私も良く解からん世界なのだ。
頼りない親父ですね。。。

これからも宜しくお願いします。
by おっちゃん (2007-11-09 14:39) 

しゃくとりむし

kappaさんの記事に比べて私のおサルの記事(仕様をきめていくということ)
がすごく幼稚なので少し恥ずかしくなってしまいました~
(分かりやすい例だと思ったんだけどな・・・

とても分かりやすいです。これから家を建てる方にも参考になるでしょうね。
by しゃくとりむし (2007-11-10 08:01) 

kappa

おっちゃんさん、こんにちは。

記事で挙げた例は私が接したH.M.や工務店を意識したものですが、あくまで仮定の話で、これに依らないビルダーの方が圧倒的に多いと思っています。

>プランと外観や性能は…干渉しあいます

私の場合、どれを重視するかといったら、 プラン>性能>外観 の順でしょうか。主役は家族なのですから、使いやすい家が一番です。

次世代省エネ基準の仕様規定は、それが一人歩きすることを想定して、かなり厳しめに設定されていると思います。確かに仕様規定どおりに施工すれば頭を使わなくても基準はクリアするでしょうが、低コストと高性能を両立させようとすると、仰る通り様々な要素を考慮に入れて設計する必要が出てくると思います(でも面倒なので、そこまで考えてくださる設計者は余り居ないかも知れません)。

おっちゃんさんの考え方にはとても共感しています。ブログの方も頑張って続けてください。よろしくお願いします。
by kappa (2007-11-10 22:11) 

kappa

しゃくとりむしさん、

そんなことないです。おサルの記事、とても分かりやすかったです。
予算配分を予め考えておくことが大切でだという点で、私も言いたい事は同じです。

殆どの施主さんは、当初想定していた金額より、実際に支払った金額の方がかなり大きいのではないでしょうか。まあこれは相場を知らなかったというのもあるのですが、上限を決めておかないと、どのみちローンを利用するので金銭感覚が麻痺し、するずると金額が膨れてしまいます。

理想論かも知れませんが、最初に予算を枠取りし、それをどう配分するかを考えた方が、全体のバランスが良くなると思うのです。
by kappa (2007-11-10 22:22) 

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