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それでもやっぱり坪単価 [これから建てる人のために]

 以前の記事でビルダー選定の重要性について述べました。しかし自分の要望と予算をある程度把握できていても、予算と要望に見合うビルダーを選ぶのは至難の業です。なぜなら、H.Mはが家の仕様と価格を他社と比較できるように明示していないからです。特に大手H.M.は、メーカーの独自工法、イメージ、高級志向など、「価格以外の部分」で勝負しようとしているので、コスト・パフォーマンスで工務店やローコストH.M.などと比較されることを嫌います。

 しかし、数多のビルダーの中から自分たちの要望に合ったビルダーを選定するには、比較検討は欠かせません。ここで、家の仕様や商品コンセプトはH.M.のHPを見れば大体分かります。後は価格さえ分かれば、モデルハウスに出向いて営業攻勢を掛けられる前に、じっくりビルダーを比較検討することができます。
 ここで頭に入れておきたいのは、大手H.M.であればコスト体系は似たようなものなので、家のグレードは価格に比例するということです。ただ、メーカーによって力を入れている部分が異なりますので、価格が高くなれば満遍なくグレードが上がるかというとそうではありません。その辺り、メーカーの得意・不得意と自分たちの要望が合うかどうかも考慮に入れると良いでしょう。

 住宅業界で一般に言われている価格の目安は「坪単価」です。しかし坪単価はあてにならないとよく言われます。その理由は、「ローコストH.M.が提示している坪単価は客寄せ用であって、諸費用等を加算したり延べ床面積に換算すると遙かに高額になってしまう」というものです。
 確かにその通りですが、「坪単価はあてにならない」とは、価格を提示して比較されたくないビルダーが方便に使っている場合もあるように思えます。提示されている坪単価の条件がまちまちなら条件を揃え、「全てコミコミの坪単価」で比較すれば良いだけの話です。
 ただ、このコミコミ坪単価を把握するのは容易ではありません。建築ブログなどを参考にしようとしても、数あるブログの中で自分の家の建築費総額を明示しているものは殆どありません(情報としてはこれが最も参考になるのですが残念です)。それでも一部には家の仕様やコミコミ坪単価を掲載しているサイトはあります。
 ここでは、ハウスメーカー比較ハウスメーカー断熱比較などから引いたコミコミ坪単価と得意・不得意を記してみます。坪単価は延べ床面積に対してのもので、プランによって5万円程度は変わると思いますし、家の規模が小さくなるほど単価は上昇します。またここに示すのは家本体+付帯工事費の費用で、外構、浄化槽設置、水道引き込み、地盤改良、解体費などは含まれません。


・軽量鉄骨系
 得意:大空間や大きな開口部を取れ、これを重視される方にはお勧め。また、品質のバラツキが少ないというメリットがあります。
 不得意:鉄骨造りの宿命として断熱性能は高いとは言い難く(Ⅳ地域でQ値2.3~2.4程度)、保温性の高い家を希望される方には不向きです。またH.M.によって異なりますが、パネル化やユニット化のため、間取りの自由度が制限される場合があり、特に収納などの小さな閉空間の配置には工夫が要ります。

 積○ハウス 75万円/坪 ( 40坪の家で3,000万円)
 大○ハウス 75万円/坪 ( 40坪の家で3,000万円)
 パ○ホーム 75万円/坪 ( 40坪の家で3,000万円)
 セキス○ハイム 70万円/坪 ( 40坪の家で2,800万円)


・重量鉄骨系
 得意:耐震性と間取りの自由度。軽量鉄骨以上に堅牢、ビルトインガレージなど大空間・開口をとることができる。
 不得意:軽量鉄骨同様、気密・断熱性を上げにくい(開口部を大きく取った場合は尚更)。保温性の高い家を希望される方には不向きです。

 ヘーベ○ハウス 75万円/坪 (40坪の家で3,000万円)
   (上記特徴の他、耐火性能が高い.反面、気密・断熱性は次世代基準に満たず、
    同じ建坪だと他社より少し狭い)


・2×4,木質パネル系
 2×4や2×6は安価な材料と高度な技術を必要としない施工法によって、建物本体原価は一定レベルにあるはずですが、メーカーによって結構な価格差があります。
 得意:耐震性、気密・断熱性。構造上これらの性能を向上させ易く、基本性能重視の方にはお勧め。
 不得意:一定の量の壁が必要となるので間取りの自由度がやや低く、特に開口部が大きい和風の家は建てにくい。また、使用している木材は輸入材が殆どであり、木材に拘る方には不向きです。構造材が湿気に弱いので各社とも壁体内結露を生じさせない工夫(気密シートの施工など)を施しています。

 スウェーデ○ハウス 85万円/坪 ( 40坪の家で3,400万円)
 三菱地○ホーム 85万円/坪 ( 40坪の家で3,400万円)
 三○ホーム 75万円/坪 ( 40坪の家で3,000万円)
 セキス○ツーユーホーム 70万円/坪 ( 40坪の家で2,800万円)

 以下ディーラー制(価格・品質は代理店次第)
 ミサ○ホーム 70万円/坪 ( 40坪の家で2,800万円)


・在来工法
 設計の自由度が高いので、プランの面で有利です。各社とも施工の省力化に工夫を凝らしていますが、どちらかと言うと構造以外のところでオリジナリティーを発揮しており、得意・不得意はH.M.毎に異なります。

 住○林業 75万円/坪 ( 40坪の家で3,000万円)
  得意:国産木材使用率が約50%と比較的高い。ある程度木材に拘る人にお勧め。
  不得意:気密・断熱性能がやや低く、保温性の高い家が欲しい方には住○林業ツーバイフォーの方が適。
 一○工務店 70万円/坪 ( 40坪の家で2,800万円)
  得意:耐震性。地震に強い家が欲しい人にはお勧め。
  不得意:デザイン。外観に拘る人には不向き。



 断熱性能がやや低い場合でも、大手H.M.はオプションで断熱補強や、強力な暖房装置を付けるという選択肢を持つ場合が多く、お金を掛ければ改善出来ます。また単純に冷暖房の運転時間を長くするという手もあります。



・ローコスト系。
 大手H.M.とコスト体系が異なるため、同列には論じられません。基本的に耐震等級1、温熱等級3と性能面では大手H.M.と一線を画します。コストを削減している部分は目に見えない人件費が主ですので、モノという面で見るとコスト・パフォーマンスは良好ですが、大手H.M.と同様の仕上がり・サービスは期待できません。最近ではH.M.もローコストなりにデザイン、設備機器、床暖房など、特徴を打ち出してきています。

 住○不動産 55万円/坪 ( 40坪の家で2,200万円)
 タ○ホーム 45万円/坪 ( 40坪の家で1,800万円)

 以下FC系(施工品質は契約した工務店毎に異なる)
 アイフ○ホーム 50万円/坪 ( 40坪の家で2,000万円)
 クレバリ○ホーム 50万円/坪 ( 40坪の家で2,000万円)
 ユニバーサ○ホーム 45万円/坪 ( 40坪の家で1,800万円)




 これらを見ますと大手H.M.では70万円/坪から、ローコスト系なら50万円/坪前後が大体の相場です。両者にかなりの開きがありますが、この間は中堅H.M.などが埋めているのでしょう。先に記したように、坪単価はプランによってかなり変わってきますし、同じプランでも各社オプション料金が異なりますから、坪単価が同レベルでも実際の見積金額はH.M.によって差が出ます。上の金額はあくまで目安に過ぎませんが、「40坪の家を●●.で建てるとコミコミで最終的に3,000万円程度掛かる」などという相場を知っていれば、自分たちの予算で頼めるH.M.を効率良く選定できると思います。

 ここでは全国展開しているH.M.を記しましたが、予算と仕様を見比べて、上記H.M.で満足できない場合(例えば安くて良い家が欲しいとか、国産材をふんだんに使った木の家が欲しいなど)、地域のH.M.、工務店、建築設計事務所などに選択肢を広げていくことになるでしょう。

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ビルダー選定の重要性 [これから建てる人のために]

 予算を決め、要望が整理できたら、次はいよいよビルダー選定。 家づくりにおいて、施主が最も熟慮しなくてはならない部分です。
 はっきり言ってしまえば、

 ビルダーを決めたら、施主の役目は終了

です。契約した時点でどの程度の家が出来るのかはほぼ決まります。かっぱも含め、殆どの施主は工事をビルダーに一式請け負わせる契約を結びます。契約なのですから、「これこれこういう家を、いつまでに、いくらで建築する」ということが、契約時に書面に明示されているべきで、あとはビルダーが契約どおりに施工するだけです。

 そういう意味で、詳細は契約後に決定というのはおかしいのです。契約後に仕様を変更することは、「施主の都合による契約変更」となり、施主はビルダーの請求額に異議を唱えることはできません。

 尤もこれはある程度予算的な制約がある場合のことで、予算をふんだんに掛けられる場合はこの限りではありません。業界トップクラスのH.M.なら、お金さえ掛ければ大抵のことはできるでしょうから、どれを選んでも良いでしょう。

 もちろんビルダー選定にあたって検討する事項は、金銭的な面ばかりではありません。

・家の仕様が自分たちの望むレベルにあるか
・自分の望むテイストを持つ家を施工できる技術および経験があるか。
・自分たちの要望に対する理解と、それを実現しようとする意欲があるか。
・情報伝達にストレスを感じないか。
・対応が誠実で信頼できるか。
・職人の腕や、品質管理は確かか。
・アフターサービスは希望どおりか。

などの要素もあり、総合的にビルダーを見極める必要があります。

 ビルダーの体質を施主が変えることはできません。
 例えば、施主が几帳面な性格であっても、担当者やビルダー自体がアバウトなら、打合せで伝えたこちらの要望が現場に反映されていないとか、施工や納入品に間違いがあったりして、施主の心理面の負担も大きくなると思います。(間違いが起こるのは、施工図面作成後に施主が仕様を変更することが原因だったりもしますが)
 例え価格が安くても心理的な負担を伴うのは嫌だと思う方もいれば、最終的に望んだとおりになればある程度の間違いは大目に見るという方もいるでしょう。人それぞれ感じ方は違いますから、自分なりの基準と優先順位を決めて、家づくり全般についてビルダーを総合的に評価することが必要なのです。

 ここで、金額、仕様、アフターサービスなど、目に見える部分はビルダーから提示されるので、比較検討しやすいです。
 難しいのは見えない部分。
 自分の家づくりに携わる人達が、誠実で熱意を持ってやってくれるかどうかは、契約前は全く分かりません。辛うじて、営業担当の人柄だけは打合せの時に垣間見ることができ、ビルダーの選定に大きな影響を及ぼしたりします。
 しかし、家の出来を最も左右するのは大工さんです。例えローコストH.M.で建てたとしても、大工さんの腕が良ければ大手H.M.で建てた家より出来映えは良くなります。ですから家づくりを良くご存じで情報をお持ちの方は、地元の工務店で大工さんを指名して家を建てます。
 大工さんの腕は年期もそうですが、性格も大きく反映するそうです。時間を掛けてもきっちり仕事をしたいというタイプの大工さんは、工程管理が厳格なH.M.の仕事には向かない場合もあるようです。

 腕の良い大工さんに建ててもらうにはどうしたら良いか。
 これは腕の良い大工さんが働いている工務店を見つけるしかありません。しかしこういった工務店をどう見つけるのか。
 そもそも規模の大きいH.M.は下請け工務店をたくさん抱えていますので、携わる大工さんの数も多く、指名は不可能です。大工さんと直接話をして要望を伝えることを禁止しているH.M.さえあります。
 建築を直接請け負っている工務店を訪れて訊いても、「ウチの大工は皆大丈夫だよ」と言うだけでしょう。結局、既に建てた人の評判を聞いたりして、地道に情報を集めるしかないと思います。また完成見学会に何度か足を運べば、そのビルダーの大体のレベルが分かります。
 かっぱも大工さんを指名するには至りませんでしたが、色々なH.M.の完成見学会に行くと、大手、ローコストを問わず、細かい仕上がり具合が一軒一軒異なっていることは感じました(やはり大手とローコスト系では差があります)。

 ローコストH.M.の場合は工務店への下請け費が叩かれているので、大工さんの手間賃も安くなります。このため、それなりの仕事しかしない人と、手間賃が安くてもきちんとした仕事をする人がいて、工事の品質がばらつきます。良い人に当たればラッキーで、そうでなければちょっと大変です。尤も、多少施工が雑でも、構造体の部分は殆ど見えなくなってしまいますから、施工中に施主がチェックしなければ、完成後は分からないとは思います。その方が精神衛生上良いですし、ローコスト系であればローンの完済も早いでしょうから、20年~30年後には建て替えている可能性も高く、それ程完璧な仕上がりを求めなくても良いかも知れません。
 大手H.M.の場合、工事は下請け工務店に丸投げ、監督も現場に殆ど来ません(人によりますが)。しかし施工方法がマニュアル化されており、工務店は専属の場合が多いので品質のばらつきが少なくなります。大手H.M.のメリットは正にここにあります。同じモノを大量に生産し組み立てることによって、職人さんの腕に頼らなくても一定の品質が確保されるのです。

 ここで言う大手H.M.には、フランチャイズは含みません。フランチャイズ制を敷いているH.M.の家の品質は、工務店によってまちまちなので、契約しようとしている工務店の技術力を判断する必要があります。また名前は大手でも、気密・断熱性や耐震等級など、家の基本性能はローコストH.M.と同等というメーカーもあります。

 大手H.M.の家は、同じ内容の家を工務店で建築するより2~3割程高いのですが、優良工務店を探す手間が省けます。コスト・パフォーマンスを追求せず、予算が許すのなら、あるいは家づくりに時間を掛けられないなら、施主にとって手軽で確実な選択と言えるでしょう。
 実際問題として、貴重な休日の時間を家についての勉強や情報収集に費やしてまでコスパを追求するよりも、多少割高でもその時間を仕事なり趣味なりに使った方が良いという考え方もあると思います。

 施工の品質を担保するなら、建築設計事務所という選択肢もあります。建築士自らが施主の立場に立ってしっかりと施工を管理するのであれば安心ですし、それまで施工実績があった工務店の腕もご存じだと思います。問題は、事務所の仕事内容と最終的な金額が判断し難いことです。H.M.の営業と異なり建築士はある意味「先生」で、施主との上下関係が微妙な感じになる場合があります。また、予算をコントロールしつつ、施主の要望を満たすには、相当な建築経験が必要です。意匠設計だけでなく強度を考慮した設計ができるか、コストコントロールする力を持っているか、現場に頻繁に出向いて工務店を管理できるのか、意志決定権は施主にあるということを認識しているか(施主の了解を取らないで工事内容を変更されないか)、などについてチェックが必要です。こういった情報はネットでは拾えず、口コミに頼らざるを得ませんので、工務店以上に敷居が高く感じられると思います。しかし良い事務所を見つけられれば、H.M.では難しいオーダーメイドの家が大手H.M.より安く建てられます。

 かっぱが検討した2×4ビルダーで、最もコスパが良かったのはある建築設計事務所でしたが、最初は口コミでその存在を知りました。(以前の記事で記したように、今はもう無いのですが)
 そう言えばかっぱ亭を建てたBeハウスも建築設計事務所でした。本気で探せば希望に叶う事務所は必ずあると思います。ただし建築設計事務所は施工者ではありませんので、総額が把握しにくいです。H.M.なら坪単価とオプションと固定費用を足せば済むのですが、建築設計事務所だと材料と手間の積み上げが必要な上、入札方式であれば工務店の見積もりが必要となります。その辺り、経験豊富な方なら、大体の金額を予想してもらえます。


 ビルダーの選定に当たっては、価格、プラン、設備、デザインなどのほか、この様な目に見えない施工品質のことも、頭に入れておくことが望ましいです。

 そうは言っても、接触したビルダー全てに対してこれを行うのは大変な労力を必要とします。やはり早い段階で、自分たちの要望に沿ったビルダーをある程度選定できれば、その後の検討が楽になります。

 その第一段階選抜。

 これは自分の要望の中で、最も拘りのある条件による選抜です。

 例えばその条件が、「プロヴァンス風の家」であればプロヴァンス風の家の施工経験があるビルダーを選ぶ、「RCの家」であればRC構造で施工しているビルダーを選ぶ、「暖かい家」であれば気密性・断熱性が優れたビルダーを選ぶ、「有名どころで建築」であれば名の知れた大手H.M.を選ぶ、などです。
 かっぱ亭の場合は「予算」が最も厳しい制約条件だったので、2,000万円以内で建築できるビルダーが、最初の検討対象となりました。(これを探すのが大変だったのですが・・・)

 この段階で選抜が出来るのは、自分たちの要望が自覚できているからです。具体的な要望が固まっていないまま、いきなりモデルハウスに行くと時間が掛かりすぎ、効率が良くありません。比較対象となるビルダーが増えるほど、1社が受注できる確率が下がりますので、基本的にビルダーは他との比較検討はなるべくして欲しくないというスタンスで営業を掛けてきます。これは、なるべく他社を廻られないように、契約までに時間的な余裕を与えないということで、必ずと言って良いほど期限を切って値引きなどの条件を提示してきます。このため何となく気持ちが焦り、工務店や建築設計事務所など、より広い範囲でビルダーを検討することなく契約に至ってしまいます。
 要望が固まっていないのであれば、モデルハウスを訪れる前に、なぜ家を建てるのか?家にかける予算、で記したような事項について、まずは書籍やネットなどで情報を収集・検討しておくべきでしょう。

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なぜ家を建てるのか? [これから建てる人のために]

 不具合箇所の修理も済んで、家作りも一段落したので、ビルダー選定に関して思うところを時々述べて行こうかと思います。

 以前の記事(家にかける予算)でローン破綻の危険性について述べ、家にかける予算額を定めておく必要性を記しました。

 満足できる家を建て、なおかつ金銭的な余裕を失わないためには、自分たちの要望と、住宅業界について知っておくことは重要です。言い換えれば自己分析と情報収集。



 彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず    です。



 己を知る・・・ その一つが既に述べた予算。そしてもう一つが購入の目的です。

 そもそも家を建てる目的は何であるのか。
 10年で資産価値がほぼ0になり、定期的なメンテナンス費用が必要となる一戸建ての購入に、金銭的なメリットは全くないと言って良いでしょう。
 (土地は別物として考え、上屋に話を限定します.短期間で返済が可能な高所得者層や、借り入れが殆ど無い場合も話から除外します.)

 一戸建て住宅はある意味贅沢品です。
 購入する動機は自分の欲求を満たすこと。

 どうすれば自分は満たされるのか。「格好良い家」は欲しい人は、できあがった家の使い勝手や性能がいくら良くても、見かけが平凡であれば満足できないでしょう。
 縦長窓に代表されるように、機能性とデザイン性は相反することが多いです。

 まずは購入動機。

 一般的な購入動機といえば、より快適な生活がしたい、所有欲を満たしたい、両親と一緒に暮らしたい、義父母との別居を確定したい、などでしょうか。これら問題解決型の建築は、目的がはっきりしているので、要望を詰めることはそれほど難しくないでしょう。

 購入動機が、家賃を払うのがもったいない、金利が上昇しそう、など、損得勘定が根底にある場合は、「振り出しに戻れ」です。自分達の年収と職場の安定性、これまで貯金ができていたか、子供達に掛かる費用の増加、家のメンテナンス費用と寿命、ローンの利率などを、将来に亘ってシミュレートして、オーバーローンが何十年も続く危険性と、十分な頭金が用意できる前の建築が金銭面では決して有利ではないことを認識してから購入を検討すべきです。
 「ローンは家賃代わり」と謳っているチラシを見ると、家の寿命について全く考慮されていない場合が多いです。5年早く建てた家は、5年早くダメになります。設備機器や家の性能はどんどん進歩しており、最先端で手が出なかったモノでも5年後には普及価格帯で手に入ります。エネルギー価格の高騰で、次世代省エネルギー基準準拠も数年後には当たり前になるかも知れません。待てば待つほど同じ金額で良い家が建ちます。



 購入動機が整理できれば、それを満たす手段を考えます。
 自分たちはどんな家が欲しいのか。
 自分たちのことでありながら、これは仲々難しい問題です。 最初から、
「RCの家で屋上付き、地下のシアタールームで大音響の映画を楽しみたい」
などと、具体的に決まっている人は余りいないと思いますが、漠然と、「プロバンス風」とか、「お気に入りのインテリア」とか、「木の家・自然素材」とか、「実用性重視」とかの要望はあると思います。
 また、世間体を気にするのかというのもあります。ある意味Vanityの範疇なのかもしれませんが、周りが立派な家ばかりなので、同格以上の家でなくては恥ずかしいとか、友達や近所の人に自分の家を自慢したいという気持ちが強いかどうかも、家づくりの方向性に大きく影響するでしょう。

 いずれにせよ、家の大きさ、構造、耐久性、メンテナンス性、設備機器、気密・断熱、使用材料、防犯性、アフターサービス、ブランド、インテリア、デザインなどについて、優先順位を整理します。



 最初は漠然としたイメージしかなかったけれど、契約後、打合せを重ねたり、色々調べていくうちに、自分の求める家が見えてきた。
 こういう場合も多いと思います。

 でもこれでは遅いのです。

 なぜならもうその時点では、H.M.が用意したメニューの中からしか選ぶことしかできなくなっているからです。
 契約後の追加事項はH.M.の言い値であり、本当に驚くほど高い。欲しかったモノ、実現したかったコトを次々諦め、結局は標準仕様に毛が生えた程度の家になり、後悔が残る。

 これではちょっと悲しいです。

 でも私から見れば、ローコスト系は別として、H.M.の企画商品の標準仕様ってかなり良いモノを使っており、普通に暮らす分にはじゅ~ぶんだと思うのです。契約後により良いモノを見せられてしまうと、当初は欲しいと思っていなくても、ついつい心が傾いてしまう気持ちは分かります。しかし、オプション料金として予め予算を枠取りしてあるのなら別ですが、大抵は契約時の金額でいっぱいいっぱいの筈です。くれぐれも、H.M.の戦略に載せられないように。



 あるいは妥協せず、予算を大幅にオーバーしてローン増額。

 それなら最初の予算額って一体何?

 予算オーバーと言っても、相場を知らないことにより当初の予算枠が小さすぎた(余裕を持ちすぎた)ということもあるでしょうが、目の前にニンジンがぶら下がっていない(家の形が見えていない)状態の方が、冷静に現在及び将来の家計をシミュレートできると思います。家づくりを進めていくと、どうしても金銭感覚が麻痺してしまいますから。
 当初の予算額を大きくオーバーするということは、やはり生活のどこかにしわ寄せが出てくる可能性があります。

 自分たちの要望は、契約する前に明確にしておく。

 これが原則だと思います。

禅問答の様な記事でスミマセン.クリックを頂けましたら更新の励みになります
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