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蓄熱暖房機って? [仕様と価格]

 リビングの居候に遭遇でも述べましたが、暖房は輻射熱を利用したものを入れたいと思いました。
 住宅における暖房熱の伝わり方は、暖められた空気が移動する対流、物質中を熱が伝わる伝導、そして熱が光と同じように伝わる放射(輻射)の3つがあります。
 木造住宅では空気や木材の熱伝導率が小さいので、部屋全体を暖める方法は、対流による方法(エアコン、ファンヒーター)か、輻射による方法(パネルヒーター、蓄熱暖房機)が一般的です。対流による暖房は空気を暖めて循環させますので、暖房効果は最も早く現れますが、暖められた空気が上昇する分冷たい空気が下降してきますので、居室の天井付近は暖かいのに足元が冷えるという現象が起きます。吹き抜けや勾配天井を設けた場合はこの傾向が一層強くなります。輻射による暖房は対流による暖房ほど立ち上がりは早くありませんが、家の構造体が暖まりますので、家全体の温度が均一に近くなります。
 普段の生活様式から、かっぱは床や畳にごろんと横になりたいので、足元が冷えない暖房方式を望んでいたのですが、F建設の完成見学会で蓄熱式暖房機を知ってからは是非これを採用したいと思うようになりました。床を暖めるタイプの通常の床暖房も体験してみたのですが、床が暖かくなりすぎてかっぱ達にはNGでした。
 蓄熱式暖房機は長い時間を掛けて住宅内の熱分布を定常状態に保ちます。住宅の気密性・断熱性が高ければ末端で失われる熱の量が少なくなりますから、家の中の温度差は小さくなり、快適に生活できます。パネルヒーターも輻射暖房である点は同じであり、イニシャルコストは安く済むのですが、蓄熱式暖房機は深夜電力を利用して蓄熱体を暖め、昼間は電気を使いませんのでランニングコストが小さいという利点があります。
 蓄熱式暖房機の熱源は300キロ前後の煉瓦で、通常は1~2箇所設置されます。家の規模にもよりますが、採用された方のHPを見ると、家の断熱性能が次世代準拠で、熱容量的には間に合っていても、1階リビング1箇所だけの設置では苦しいようです。

どちらも大変参考になりました(ありがとうございました)
 まきまりまんまるちゃんのお家(Home→入居後のお話→エアコンと蓄熱暖房機)
 快適なモダン住宅を建てよう

 ちょうど熱源が小さな太陽であると思えば分かりやすいのですが、熱源の近くは相当熱くなり、遠い所ほど寒くなります。蓄熱暖房機は室内の温度を一定にしてくれる魔法の機器ではなく、れっきとした発熱体なのです。ただし熱源から熱を受け取った構造体が再度放熱する二次輻射、三次輻射や、暖められた空気の対流もありますので、部屋のしきりやドアが少なければ家の中の温度差は小さくなるようです(反対に閉め切った部屋や玄関は寒くなる)。参考ページは蓄熱暖房機を使用した方のブログですが(こちらも参考になります)

 マイホームひねくれレビュー

・熱源を分散させる(複数台設置)
・家の真ん中に設置する
・カウンターの下などに設置しない
・窓の下に置くのが良い(コールドドラフト対策)

等がアドバイスされています。

 一階が蓄熱暖房機、二階がエアコンでは深夜電力を利用する意味が薄れてしまいますので、かっぱ亭の場合蓄熱暖房機のプランを検討していた時には、2台設置を考えていました。

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外断熱か内断熱か [仕様と価格]

 次世代省エネルギー基準を達成する工法はたくさんありますが、大別すると外断熱・内断熱(充填断熱)に分けられます。
 外断熱は住宅を外側からすっぽり包み込みますので断熱欠損が生じにくく、施工も単純で人為的ミスが生じにくい工法です。構造体をまるごと蓄熱体として利用できますので、輻射暖房の利用にも有利です。特に熱容量が大きいRC造りや、熱橋が問題となる鉄骨造りでは必須と言われています。
 充填断熱は壁の中に断熱材を入れますので柱やスタッドの部分を断熱することができず、外部に熱を逃がす通り道(熱橋)ができてしまいます。木造住宅の場合、木にはグラスウールの1/3程度の断熱性がありますから、それ程大きな問題にはなりませんが、家全体で必要な断熱性能を確保するため、断熱材の厚さは熱橋があることを考慮して決定しなければなりません。公庫仕様書でも、充填断熱の断熱材の厚さは熱橋を考慮し、外断熱より厚く設定されています。また、壁の中に隙間無く断熱材を詰め、さらに室内側で気密を取るため、熟練した職人さんが必要となり、それまで高気密・高断熱住宅を手がけていなかったH.M.や工務店がいきなりやろうとしても難しいと思います。

 気密性・断熱性の確保しやすさに関しては、原理的に外断熱の方が優れていると思います。

 問題はコスト。

 外断熱では構造体の外部に断熱材を貼るため、板状に成型され、ある程度の強度を持った断熱材を使用しなければなりません。また断熱材の外側には通気層を設け、外壁材を貼らなければなりませんので、断熱材を厚さを抑える必要があります(断熱材を厚くするためには何らかの補強が必要となり断熱材以外にもコストが嵩む)。このため薄くても一定の性能が確保できる高性能断熱材を使用する必要があり、断熱性能が同じでも充填断熱に比べて費用がかかるのです。また断熱材を厚くできませんので、断熱性能は頭打ち(一定水準以上には出来ない)という制約もあります。ゆえに、高い断熱性能が求められる北海道などでは外断熱は殆ど用いられていません。

 かっぱ亭や予算の制約がありますので、コスト・パフォーマンスも考えると充填断熱でも良いと考えました。

 充填断熱に使われる断熱材にも様々なものがあります。最も一般的なものはグラスウール、ロックウールなどの繊維系断熱材ですが、水を含むと断熱性が失われ、垂れ下がって隙間ができてしまう問題点が指摘されています。これは室内側の気密をしっかり取って水蒸気を壁内に侵入させにくくすること、断熱材を隙間無く充填する手間を惜しまないことで解決できます。
 また在来工法では筋交いを設けると、これが邪魔をして断熱材が入れるのが面倒です(隙間無く充填するため、筋交いの形状に合わせて断熱材を斜めに切断して入れなければならない)。このため、現場発泡の断熱材や、板状に成型された発泡系断熱材が使用されたりしています。外断熱でも充填断熱でも発泡系断熱材を使っているのは、より高性能を目指すというより、施工性を良くするためと、断熱材を薄くすることを目的としている場合が殆どです。高気密・高断熱の先進地区である北海道では繊維系断熱材が一般的に用いられているところから、適切に施工されればどの様な断熱材が使用されても気密性・断熱性は確保されると思います。家の断熱性能は断熱材の種類で語られるべきではなく、Q値で比較されるべきだと思います。

 ただ、Q値は断熱性能を示す一つの指標にすぎません。夏場の庇による遮光や西日が入りにくい窓の位置、風が通りやすい間取りと窓の配置、冬場の日光の積極的な取り入れなど、快適な温熱環境を得るための大切な要素はたくさんあり、Q値のみで判断することは片手落ちになります。

 コスト面を比較すると、断熱材の価格は繊維系が最も安価なのですが、断熱材を留めるための間柱を設ける手間や、筋交い部分の施工手間などを考えると、それほど有利ではないのかも知れません。
 かっぱ亭は2×4ですので筋交いがなく、充填断熱でも高気密・高断熱を実現しやすい構造です。最も安価に所定の性能を満たす断熱材は繊維系で、Beハウスも一般的にこれを使用していましたので、特に変更はしませんでした。
 断熱材の施工については、大工さんも手慣れており、今の所全く問題はありません。

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定性評価と定量評価 [仕様と価格]

 昨日記した屋根についてもそうなのですが、家を建てるにあたって施主が集められる情報は、その殆どが定性的なものです。定性的とは例えば、

・基礎断熱はシロアリに弱い
・高気密高断熱住宅は外断熱でないと実現できない
・木造住宅で外断熱は費用の割に効果が乏しい
・複雑な形状の屋根は雨漏りしやすい
・珪藻土には調湿性がある
・珪藻土の調湿性は殆ど期待できない
・珪藻土には発ガン性がある
・柱は無垢材に限る
・柱は強度のある集成材が望ましい
・これからの家は高気密・高断熱が最低条件
・高気密・高断熱住宅は必要なくむしろ有害
・ビニールクロスには僅かだがホルムアルデヒドが含まれるので使うべきではない

という様にAはだめ、Bは良し、という1かゼロかの情報です。定性的な情報は長い年月を受け継がれ、建築界の常識となっているものから、自社の仕様を売り込もうという思惑があるものまで、様々です。素人にとっては単純明快で分かりやすいのですが、それぞれ相反する情報もあり、取捨選択に迷います。
 これに対して定量的な情報とは、

・基礎断熱の家と床断熱の家のシロアリ被害確率を比較
・外断熱と充填断熱の気密性、断熱性をC値、Q値で比較
・スレート屋根の塗り替え期間は平均で約10年
・珪藻土の調湿機能を実験によって評価
・気密施工している家とそうでない家の結露の発生状況を比較
・ビニールクロスを使った家と、自然素材で建てた家の空気中のホルムアルデヒド濃度の平均的な値を比較

など、程度を数値として表せる情報で、AでもBでもない、その中間を表現できます。 定量的な情報が得られれば素人である施主でも、問題を解決するためにどの程度対策を施したら良いのか、ある程度判断できますが、この様な情報は極端に少ないのです。そういった意味で、住宅性能表示制度は住宅の性能を誰でも分かるように定量的に評価しようとするもので、施主にとっては大歓迎なのです。
 一方で、定性的な情報はプロが素人に分かりやすいようにデフォルメして発信しているものも多いと思います。プロは自分の経験から、ある問題に対してどの程度の対策を講じれば解決できるか、現実的な程度を知っており、意識せずとも情報を定量化しているものです。しかし素人にはこの経験がありませんから、ともすると定性的な情報を盲信し、過剰な対策を採ろうとして暴走するケースもあるでしょう。素人である施主は、勉強したが故の暴走には注意しなければなりませんし、ビルダーには、施主が暴走しはじめたらプロの意見でブレーキを掛けて頂きたいと思うのです。
 かっぱ亭の場合予算上の制約がありますので、いくつかの問題(例えば昨日記した屋根の形状)について「落としどころ」をどうするか悩み、今思えば暴走気味かと思う部分もありました(追って紹介します)

・今日の現場
 引き続きサイディング貼りと2Fフローリングが進みました。明日は大工さんが別の現場に引っ張られて、内装はお休みです。
 2階の床は構造用合板の上に、遮音シート、石膏ボード、フローリング材の順番で貼られます。遮音のため、1階と2階の間に断熱材を入れるケースも見られますが、かっぱ亭の場合は入りません。

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